数値計算グループ

研究概要

コンピュータによるシミュレーションは,新素材の開発,タンパク質やDNAなどの働きの解析,自動車などの製品の効率的な設計・開発,精度の高い気象予測,超新星爆発現象の解明など,ナノレベルから宇宙規模の現象まで産業や科学の幅広い分野において必要とされています.

そのようなシミュレーションの際に連立一次方程式や固有値問題が現れ,近年では問題の規模が大規模なものとなっており,それらの問題を高速で解くことが重要な課題となっています.

数値計算グループでは物理や化学,生命科学などの分野の研究者と協力して,これらの問題に対してコンピュータのための数学を駆使した効率的な計算方法の研究開発や並列環境での実験を行っています.

連立一次方程式の解法

連立一次方程式は Ax = b で表される問題の x を求める問題です.この方程式は熱流体解析や構造物の強度計算,ヒトのDNA解析など様々な分野の数値シミュレーションで現れ,そのシミュレーションの計算時間の大部分が求解に費やされます.この方程式を解く方法には直接解法と反復解法があります.

直接解法にはガウスの消去法やLU分解などがあり,有限回の演算で必ず解くことができるものの計算量・メモリ使用量が膨大となります.反復解法にはKrylov部分空間反復法があり,計算量・メモリ使用量が少ないものの,問題によって多くの反復回数を要する場合があります.数値計算グループでは主にKrylov部分空間反復法を用いた解法をメインに研究を行っています.

研究テーマ例

  • BSAIC前処理
  • 気象シミュレーションから現れる連立一次方程式
  • BlockIDR(s)法の開発
固有値問題の解法

固有値問題とはある行列の固有値・固有ベクトルを求める問題のことです.固有値問題には Ax = λx で表される標準固有値問題や Ax = λBx で表される一般化固有値問題,2次以上や平方根などより複雑な項が現れる非線形固有値問題 F(z)x = 0 などがあります.このような問題に対して数値計算グループでは主に周回積分を用いた固有値解法(SS法)をメインに研究を行っています.

SS法は周回積分を用いた固有値解法であり,様々な固有値問題への対応が可能な解法です.また高い並列性をもつため,並列計算機での計算が有効となります.そしてその解法の中で連立一次方程式が現れます.

研究テーマ例

  • SS法における耐故障性
  • 遅延微分方程式から現れる非線形固有値問題
  • 量子ドットに現れる5次多項式固有値問題
  • 非線形固有値問題における固有値分布推定